仮面浪人生活(9月~10月)
後期の始まり、変わらぬ日常
楽しかったサークル旅行も終わるといよいよ後期の授業が始まった。しかし、夏休みに集中講義を受けていたこと、TOEICで英語の単位を3単位消していたこと、さらに先ほどのサークルでボランティア単位というものを取っていたため合計3コマ消すことに成功した。そのため、後期は週10コマと前期の約半分のコマ数となった。特に、火曜日は全休で、ここに単発バイトを入れて受験費用を稼いだ。
こんな感じで後期は割と自由な時間が多く、空いた時間に受験勉強をする余裕が十分にあった。
ちなみに後期の授業で印象的だったのは体育の卓球である。
仮面浪人同士が授業時間が終わっても楽しく卓球をしていたのは何とも滑稽であった。
そして10月になるとここまで大学でもほとんど触れることのなかった物理の電磁気分野の勉強をした。本当に入試以来の電磁気だったので最初は基本的なことも怪しかったが問題を解いていくうちに徐々に感覚を取り戻した。
10月は電磁気の勉強と並行して現役時に受けた模試の解き直しをしていた。現役時は夏秋それぞれ河合駿台代ゼミを、本番直前に東進河合を受けていたため豊富に模試はあった。数学と理科を一通り解きなおしてみたが、衰えていないという良い意味で現役の頃とほとんど出来は変わっていなかった。
このように着々と再受験の準備を進めていたわけだが別に大学生活を犠牲にしてまで勉強をしていたわけではなかったため自分が仮面浪人をしているという実感はこの時期になってもまだ強くはなかった。
そしてこの時点でまだ親以外に仮面浪人のことを知っている人は誰もいなかった。
仲のいい友達でさえ、このことを知らない。
聞かれたら答えようとは思っていたが、仮面浪人などの話題は4月当初くらいしかなくこの時期にもなってくると誰もそのような話題は出してこなかった。